家出妻

せまい家に住んでいると、プライベートがなくなる。

孤独な時間が、大切な空間が、失われてゆく。

 

さいきん、それが耐えられない。

 

ので、わたし、決意しました。

そのうち家出妻になります。

お金を貯めて、国外に逃亡します。

来年あたり。

周到に計画を練らねば。

 

物悲しい時期に物悲しい街にゆきたい。

視線

ふたりぐらしをはじめて、はや5ヶ月。

わたしの駄目さが露呈する日々。

存在許可がないと感じて生きているわたしを、あなたはどう思っているのでしょうかね。

 

久しぶりに電車に乗って県の中心部に出かけたら、人の多さにたじろいだ。

歩きスマホをしているひとが増えたとはいえ、行き交う人と視線が合致することは多々ある。その、他人の視線にたじろぐ。自分では見えない自分を見られている、ひとりの生きている個体として認識されている。時にはあろうことか、侮蔑や軽蔑を含んだ眼差しで、わたしは一瞥される。こわい。他人が他者が、そしてぬけぬけと生き続けている自分が、こわい。そんなときは、きまって、透明な存在になりたいと願ってしまう。

 

毎日毎日決まり切った生活を送れる社会人のみなさまを、心から尊敬しています。あしたも、おしごとがんばってください。わたしは、あしたも会社、休みます。